2015年9月25日(金)/あばれんぼハニー(鳶田瀬ケビン)
実録!本当にあったいたたまれない話。
その1。
相変わらずの肩こり腰痛のため、今日も尻を揉まれに*1行ってきました。
で、私の隣で施術を受けていた人がやたらデカい声で整体師さんと雑談していたので、ついうっかり聞き耳をたててしまうなど。
どうやらそのお客さん、某声優養成所の講師の方だったらしく、
「才能に頼って練習しない子が多い」だとか、
「ちょっと怒ったらすぐやめてしまう」だとか、
それはとてもとても身につまされるお話を聞いてしまいました。横で身をつままれながら。
実は、私も大学4年の時に声優養成所*2通ってたんですよね。
しかも、割と早々に「これはアカン」と思って、結局普通に一般企業の内定を決めるというだいぶ諦めの早い残念な…。(一応、養成所は修了まで1年通いましたが)
もう過去の話ですけど、不意にこういう話に触れると、まだちょっと「ウッ…」ってなりますね……
その2。
寄り道したアニメイト。
40〜50代?くらいの、ジャンレノとジローラモを足して2で割った感じの、ナイスミドルな外国人男性が店員さんと話をしてまして。
珍しいこともあるもんだなー、と思って見てたんですが、何故かその方、
最近腐女子御用達でお馴染みの「ハイキュー!!」のグッズをお持ちだったんですよね。
何でだろう、と気になって観察してると、そのお客さん、
電話で誰かと話しながら、店員さんにグッズのことを質問している。
よーく聞き耳をたてて見ると、グッズを指さしながら「Is this ○○サン*3?」みたいな事を聞いていた…。
「あっ、これは、電話口の向こうから『○○サンのグッズを買え』と指示されてるんだな…」と悟ってしまい、とてもいたたまれなかった…。
というか、オタクでも何でもない人をアニメショップに向かわせ、グッズのお使いをさせるの、本当にやめよう…?
その3。
今日アニメイトで買った新刊。一応BLではなく一般マンガ。
(ちなみに、pixivコミックの掲載作品です)
そこで、こんなシーンがあったんですが…↓
BL漫画でキャラと名前が被る程度でいたたまれないだと…?
何甘っちょろいこと言ってんだ……?って思いましたよね正直。
私くらいになると、
苗字*4が被ったキャラがいるBL漫画がアニメ化したりとか
BLゲームで名前*5が被ったキャラがいて、濡れ場でひたすら自分の名前を連呼されたり とかあったから!!
漫画で被る程度じゃ全然ですから!!!!って本気で思いました。
SEXシーンでひたすら受けちゃん(CV鈴村健一)*6から自分の名前が呼ばれた時は史上最大にいたたまれなかったです。もちろん全部クリアしたけど。
読み始めるまでのハードルがめちゃくちゃ高すぎる…
ということで、今日アニメイトで買ってきた新刊。
「わーい鳶田瀬ケビン先生の新刊だー!」と思って、あらすじも帯も読まずホイホイと軽率に買ったんです。
最近、帯すら見ずに漫画を買って何度か痛い目にあっているのに、相変わらず軽率であるな私…。
ところがところが。これ、よーく帯を見てみると、
「『オメガバースプロジェクト』第1弾、待望のコミックス化!」
って書かれてるんですよね。
はて…オメガバース……?ふゅーじょんの新しい企画モノか…?
と思いながらページをめくると、目次ページの次、漫画本編よりも先に出てくる「オメガバースとは?」という説明ページ。
これがめっっっっっっっっっっっっっちゃ字が小さい。細かい。
そして、何とフルカラーで4ページに渡って延々とオメガバースの説明がされている上に、ページのテイストがものすごく理科の資料集くさい。
ハチの絵が使われた図表*7とかあるし。
もう、マジで私ここで挫折するかと思いました。
ド文系かつ、センター試験の生物で大コケした苦い思い出のある私にとって、理科の資料集は割と鬼門なんです、見ただけで拒絶反応起こしてしまうのです…。
本当に、ページを見ただけで心が折れました…。
さて、この「オメガバース」という謎の言葉。
ふゅーじょんぷろだくとの新しい企画ではなく*8、海外発祥のBL二次創作用の特殊設定とのこと。
詳しくはpixiv百科事典の解説ページあたりをご参考にして頂きたいんですが、要は
■男女の他に、α・β・Ωの性があり、α>β>Ωの順に社会的な階級分けもされている
■男でも、Ωは種付けされると妊娠する
という事らしいです。
他にもいろいろ細かい設定はあるんですが、その辺は解説サイトじゃないので割愛。
私はこの「オメガバース」という言葉を今日はじめて知りましたし、まさかコレが世界的に共通設定があるなんて思いもしなかった為ググりもしなかったので、
泣く泣く冒頭の理科資料集を読み込んでから作品を読み始めましたよ…。
で、そーんな複雑なオメガバースの設定があった上での本作「あばれんぼハニー」についてなんですが。
(本当はもう1作品オメガバース設定の作品が収録されてるんですが、そこまで話すと話が長くなるので割愛します…すいません。)
「え…あの設定資料を読まされた労力は何だったのか…?」と思う程度には、作品自体は難しくなかった(まあ普通にすぐ理解出来る話)でした。
簡単に言うと、お身体の関係から始まった二人が気持ち的にもくっついて、やがてラブラブになっていく感じ。
まあ、確かにオメガバースの設定を知らないと楽しめないストーリーではあるんですが…。
オメガバースのあのクッソ長い説明文を読まされた後だったので凄く構えて作品を読み始めたのですが、何だか拍子抜けしました。
設定が設定だけにエロはかなり多め濃いめです。第1話はレイプに近い感じでしたし。
ただ、お身体から始まって気持ちもラブに…という作品はここ最近割と流行っていて人気もありますし、似たような作品もいくつかありますから、その辺はまあまあ受け入れられやすいのではないかと思います。
私、こういうお身体から気持ちがラブになる話好きですよ。
そしてキャラクターは、ヤクザの2代目×可愛いモノ好きのおばかヤンキーという、普通のBLでもだいぶ美味しい組み合わせ。
かわいいヤンキー受けがそれはそれは大好物の私は、なかなか楽しく美味しく味わわせて頂きました。
(なお、もう1作品は、ヤクザの跡取り×別の組のヤクザの若頭(メガネ)という組み合わせでした、という事だけご報告申し上げておきます)
ただ、この辺のキャラ設定は、オメガバース抜きにした普通のBLで読みたかった、という気がしなくもない。やっぱりオメガバース少しわかりにくいですし。
あと、鳶田瀬先生の作品って少し癖があるので、その辺が合わないと多少読みづらいかも、という懸念も。
そんなわけで、個人的には割と好きなモノ詰め込んで頂いていて美味しく頂けた感はあるのですが、
やはり「オメガバース」という特殊設定が根底にあったが為に、イマイチ気持ちが乗りきらなかったなぁ…という不完全燃焼感や、
全く万人受けしない、好き嫌いが明確に出そうだなという思いも多分に抱えながら読み切りました。
さて、話を「オメガバース」という設定の件に戻しまして。
先述の通り、この設定、本当に人を選ぶと思います。
そもそもオメガバースを理解するまでにそれなりの時間と頭脳を使いますし、
理解したところで結局エロの為の設定なので、ストーリー重視でエロなくてもいいよ派の人には合わない可能性がありますし、
設定の仕様上、かなりの確率で男が妊娠するBLが出てくるでしょうし…。*9
(※本作「あばれんぼハニー」は"たまたま"妊娠BLではなかったんですが)
それと、オメガバースでは性自体に階級制度を持たせる設定もあり、
かつそれが「種付けする側が強くて社会的にも能力的にも優れている/孕ませられる側は弱くて劣っていて社会的地位も低い」という仕様になっているため、
この辺をジェンダー論研究の方*10や、カースト制/アパルトヘイトなどの人種差別解消の運動家などにオメガバースの話を見せると、マジでかなり大炎上しそう。
なので、同人ならともかく、商業でこういうのが大っぴらになるのは割と危険もはらんでいるのではないか…と個人的には思いました。
ていうかコレ、海外で問題にならなかったのだろうか…?日本よりこの辺敏感そうなイメージあるんですが。
そんなわけで、オメガバースは設定自体が複雑*11なのでスタートがとっつきにくいし、
設定を理解したところで受け入れられるかどうかはかなり人を選ぶ。
そして下手すれば人権問題とかにも絡んでくる可能性があるため「ちょっとくらい大目に見ろよ〜」とも言いづらい。
色んな意味で難しい設定だと、私は思います。
これを「プロジェクト」として大々的にぶち上げ、今後もこの設定の作品を送り出していく!
というふゅーじょんぷろだくとのチャレンジ精神は大いに応援したいところではあるのですが、果たしてそれがオメガバースで良かったのか。
私としては、かなり首を傾げてしまうところではあります…。
う〜ん…。色んな意味でもやっとする…。
オメガバースの話だけで、論文が一本書けそうですね。誰か大学で研究しよう。