2015年9月1日(火)/はつこい保育園(秋野ゆうひ)
けっこう気になったので、はじめてこの日記で時事ネタについてでも。
例のエンブレム、ついに使用中止が決まりましたね。
ちょっと前まで広告やらメディアの仕事をしてた*1私が真っ先に思ったのは、「うわぁ、今更…」でした。
ご存じの方も多いと思いますが、東京オリンピックのスポンサーセールスも好調とのことで、このエンブレムも既に結構な数の広告に使われているんですよね。
私も結構街中のポスター*2やTVCM*3で、大胆なエンブレム推しの広告を目にしました。
で。今更このエンブレムを使用中止にするということは、こういう広告も全て使えなくなる、ということになるわけで。
今から差し替えの手間や金銭的な問題を考えると、「うわぁ、何で今更になって言い出すんや…」という感想しか出てきません…
(※「だから使用中止するな」という話ではないです。念のため)*4
例えば、私がこれまで割と長く携わってきたTVCMの分野で、おそらく明日起こるであろう話。(もう起こってるかもしれない)
(1)スポンサー:該当CMの使用中止 & 差し替え要請。宣伝部が上層部からグチグチ言われる
(2)広告代理店:TV局にCM差し替え依頼 & 大至急代わりのCM素材の手配と搬入(多分もうやってるだろうけど)
(3)TV局:明日の放送分〜2日後くらいまでは、おそらくAC差し替え。以後は代理店の指示と素材搬入が入り次第、別素材に差し替え。
まず(1)と(2)周辺。
CMって、作るだけでも結構なお金と手間と時間がかかります。
もし仮に「今放送してる奴のエンブレムを削るだけ」を流すことに決めても、
再編集&確認→放送用テープ*5にダビング(全国100局分くらい)→それぞれの放送局に搬入
という工程だけでも、もう既に結構面倒くさい。しかも再編集代やらダビング代やらでいらぬ出費が結構かかる。
おまけにイメージの問題にも影響する。誰も幸せにならない。
そして、(3)周辺。
TVCMの「どの種類(素材)を流すか」というのは、基本的に(遅くとも)放送日の3日前くらいには確定・用意されている(はず)。
例えば、NTVはそこら辺の締め切りが4営業日前までになっているらしい。
放送まで多少の余裕を持たせる理由は「ギリギリの作業になって放送事故*6起こしちゃった、という事態を防ぐため」なので、普通は「放送前日だけどやっぱりアッチのCMの方がいいから変えて」という事はできない。
ただ、例えば「この商品を使うことで生命に関わる事故が起きてしまう!」みたいな緊急性がある場合は、CMの影響でその商品を使う人が出て事故が起きてしまうとヤバいので、当然、放送当日でも別のCMに差し替えることはできる。*7
つまり、当日差し替えも、やろうと思えばできなくはない。もちろんその場合、問答無用でAC差し替えですけどね。(理由は↓の記事をご参考に)
【よくわかる】ACの仕組み【ぽぽぽぽ~ん】 : ニセモノの良心
で、今回のエンブレム問題が「当日差し替えに値する理由」かと言うと、正直微妙かなぁ…
とは言え、社会的なアレコレも考えると差し替えないわけにもいかないだろうし、結局緊急差し替え作業は発生するだろうな。
余計な(しかも緊急的な)作業は発生しますが、この作業をするからと言って特に手間賃がもらえるわけではないので、まあ放送局も得はしない。なかなか不幸。
話が長くなりましたが、
こーんなタイミングでのエンブレム使用中止決定はみんなが不幸になる、というお話。
もっと早くに決断してれば、もう少し傷は浅かったかもしれない。けど、もっと遅かったら一層の痛手になってたかもしれないし、難しい問題ですな…。
あと、ネットのまとめブログ(特にこのへん)とかを見てて思ったのが、
「博報堂、すげーとばっちり受けてるな」ということ。
これは「オリンピックの問題」なので、博報堂絡んでない。確実に電通案件。
オリンピックとかW杯とかは、電通が放送局のCM枠買い切って競合代理店の案件を一切排除するくらい、電通の締め付けが強いんですよ。博報堂の入る余地なんてない。
これ広告に携わる人はだいたい知ってるはずなんですが、意外と一般には知られてないんですかね…。
「だから電通がー」とか言うつもりもないんですが(エンブレム問題は別に電通が悪者になる話でもないし)、余りにも博報堂のとばっちり感が可哀相で見てられないので、一応言及しておきます。
ちなみに、電通もちゃんとIOCに放送権料を払えたり、しっかりスポンサーセールスできるからっていう理由でオリンピックのまとめ役になっている(と思う)ので、別に「ウラで利権握ってる」とかそんな事はないはず。
インターネットの「広告代理店陰謀説/日本牛耳ってる説」だいたい話盛りすぎて嘘が多い説。そこまで偉くないよ広告代理店…
こんなにBLと関係ない話を長々書いた後ですが、毎日のことなのでBLの話ももちろんしますよ。
今日買った新刊。短編集でやんすよ。
私の個人的な評価が下がり気味のKARENコミックス*8なのですが、表紙がかわいかったので悩んだ挙げ句、結局購入。
私がレーベルで避けるのって、他にはKADOKAWAとジュネットくらいなもんなんだけどな…*9
秋野先生はこちらが初コミックスとのこと。
その割に絵は結構かわいいと思ったけどな。
お話の方は…、うーん。素材は良い感じなんだけど、もう少し良い調理の方法があるんじゃないか?という感じ。
まあ定番と言えばソレまでなんですが、題材だったりストーリー展開だったりキャラの描き方だったり、きっちり押さえてほしい所が押さえられてて良いなと思いました。
しかしもう少し滑らかな感じで読み進められると、より良かったかなー。
まあでも、初コミックスの頃ってこういうモンなのかもしれないし…うーん。
許容範囲だよねー、って言ってしまった方が良いのか…?
…でもここら辺は、マンガ家さんだけでなく、編集さんの腕の見せ所でもあると思うんだけどな?
作者はともかく、編集さんも新人だったって事は多分ないだろう…?
調理の仕方さえ良ければもっと良い作品になりそうなだけに、何だか「もったいないなぁ」というのが一番の感想。
なので、作者さんもなんだけど、編集さんにも頑張って欲しいなぁ、と思った次第。
しかし実際、作品づくりにおける作者と編集の関わり具合ってどの程度のものなんでしょうね?
私は逆に「編集さんに期待しすぎ」という気もしなくはないのですよね…。
いっぺん商業BLづくりの現場を見てみたいなあ。
BLの作品づくりを仕事にしたいとまでは思わないけど。
(好きなことを仕事にしてしまうと、純粋な気持ちで楽しめなくなってしまいますし)